10.「皆のもの橋をかけよ!」

武庫川河畔の村、生瀬。
淨橋寺の誕生秘話

鎌倉時代中期、承久の乱の後、ひとりの僧が、京都から有馬を目指し旅に出た。途中生瀬の琴鳴山のふもとを通りかかった所、山賊が襲って来た。声を荒げ、刃物を振りかざす山賊たち。共にいた武士が戦おうとするのを差し止めて、その僧は静かに念仏を唱え始め、山賊たちに仏の道を諭した。
 「今までの罪滅ぼしに、通行する人のために此の急流に橋を架けなさい。そして、まっとうな生業で生活できるよう今後は、橋の通行料を取りなさい。」
山賊たちはその言葉に心を打たれ悔い改める。
 僧は、この橋の名を「淨橋*1」と名付け、後にこの近くに「淨橋寺」という寺を建て、念仏の道場とした。この僧の名を「証空」といい、浄土宗の開祖法然の跡を継ぎ、京都西山の善峯寺や光明寺を中心に布教活動につとめたため、人々からは西山上人とよばれた。


淨橋※1
現在の生瀬橋の辺りにかかっていた。

淨橋寺

浄土宗西山派の祖、証空上人が鎌倉時代中頃の嘉禎4年(1238)に開いたとされている。野武士の蛮行を諭し、人々の為に橋を架けさせ、その橋を淨橋と名付けた。その後仏法流布を願い淨橋寺を建立したと伝えられる。 写真は木造阿弥陀如来及両脇侍像(鎌倉時代作)。

ウィルキンソン記念館

「ウィルキンソン」は、生瀬発祥の国産炭酸飲料ブランド。英国人のウィルキンソン氏が狩猟中に上質な炭酸鉱泉を発見したことによる。社業100年を以て閉鎖、現在は商標を獲得したアサヒビールが明石工場で生産を継続。工場跡はマンションに変わったが、建物の一部をウィルキンソン記念館として存続。「生瀬ふれあい広場」として憩いの場となっている。山中にはいまだ源泉の出る場所があるらしい。

生瀬皇大神宮

創建は寛元元年(1243)で、御祭神は天照皇大神(アマテラススメオオカミ)。境内にご神木が2本(楠木の大木)あり、樹齢800余年、幹周り7mもある。 写真は新しく作った壮麗なだんじり。勇壮な武者物語の木彫が大変美しい。



歴史秘話にしのみや【ウブスナ】vol.3-10

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