人形操り発祥の地と戎座人形芝居館
室町時代以降、西宮神社の近くに住んでいた傀儡師(くぐつし・人形遣い)たちが、諸国をまわって、「えびすかき」と呼ばれる人形操りで、えびす様のご神徳を広め人々を楽しませました。えびす様の信仰が今日のように全国に広まったのは、傀儡師の存在が大きいと言われています。
西宮が人形操り発祥の地と呼ばれるのは、この人形操りが、江戸時代に淡路島や四国に移って、人形浄瑠璃や文楽へとつながっていったことに由縁します。
西宮神社の境内には傀儡師たちが始祖としてあがめ、守り神として信仰した百太夫を祀る百太夫神社があります。毎年1月5日には百太夫神社が西宮神社の境内に遷座した日を記念して祭典が行われ、淡路島や阿波からえびす舞を伝える団体が参拝し人形まわしを奉納します。
また、えべっさん筋に面した元の百太夫神社の跡地には傀儡師故跡の碑と百太夫の銅像が建っています。
人形操り発祥の地西宮をPRするために開館した「戎座人形芝居館」は、日本でもめずらしい人形劇の常設小屋。毎週土曜14時からは戎舞、人形劇、紙芝居などが上演されます。展示や講演、寄席などさまざまな催しもあり、「古き良き西宮」を体感できる貴重な場所となっています。
西宮神社の門前町として栄えてきた西宮中央商店街は、別名「戎参道」と呼ばれています。桜御影石で整備された参道には御神灯の提灯が吊るされ、えべっさんのお膝元の風情が感じられます。上質な衣食住の品々を扱う店が並び、レトロな雰囲気の店や職人気質な専門店など、お店の人との会話もはずみそうです。
阪神・淡路大震災で大きな被害を受け、商店の数は半数以下に減ってしまいましたが、震災でアーケードから落ち、5時46分を示したままの大時計が飾られた広場では様々なイベントが開かれ、復興したあとも一丸となって商店街の活性化に取り組んでいます。
そのひとつが、「えびす福おめん」という手焼きの甘いお煎餅。「お顔をかじるなんて・・・」と思わないで、思い切り割ってみんなで食べてください。割ることで福がたくさん生まれるのだそうです。(販売場所:戎座人形芝居館 ほか)
また、商店街のマスコット・ふくみみ福ちゃんも誕生し、商店街をさらに盛り上げています。