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「西宮まちたび博」のプログラムのひとつ、「夙川モダニズム建築探訪」で、夙川カトリック教会、旧山本家住宅、浦邸を訪ねてきました。
「阪神間モダニズム」という言葉があります。第2次世界大戦前の阪神間に育まれた、西洋文化の影響を受けた近代的な芸術・文化・生活様式を意味しますが、西宮市には当時の文化を感じる建築物がたくさん残っています。
10月から始まった「西宮まちたび博2014」では、実に112種類ものプログラムをご用意していますが、10月11日(土)に、その一つ「閑静な文教の街 夙川(しゅくがわ)モダニズム建築探訪」に参加してきました。
これは、阪急 夙川駅周辺のモダニズム建築である、夙川カトリック教会、旧山本家住宅、浦邸の3つの建物を、文化財保護のサポーターとして有志で活動の建築士らで構成されている「ひょうごヘリテージ機構」の方にご案内していただき、歩いて見て回るプログラムです。
普段はなかなか見学できないモダニズム建築の魅力や価値を、分かり易く解説していただき、大変見ごたえのある内容でした。
- 今回ご紹介した「閑静な文教の街 夙川モダニズム建築探訪」は今年度は終了しました。「西宮まちたび博2014」では、この他にも魅力的なプログラムをたくさんご用意しています。詳しくはこちらをご覧ください。
夙川のシンボル的な存在である夙川カトリック教会(西宮市霞町(かすみちょう))。1932年(昭和7年)に完成したネオ・ゴシック様式の聖堂は、阪神淡路大震災(1995年)で大きな被害を受けましたが、幸いにも倒壊を免れ、修復を経て、現在も壮麗な外観を保っています。小説家の遠藤周作が少年時代にしばしば訪れていたことでも知られています。
美しいステンドグラスに囲まれた、聖堂の内部。
聖堂の祭壇の奥には、十字架像を中央に、左には聖母子像、右には聖テレジア像のステンドグラスが配されています。この聖テレジア像のステンドグラスには、和服姿の子供たちも描かれています。
鐘楼2階のカリヨン展示室。鐘楼の上層部分には、11個の鐘からなるカリヨンが1932年(昭和7年)以来設置されています。実物のカリヨンは見学できませんが、このカリヨン展示室では、パネル写真等で夙川カトリック教会の歴史的にも美術的にも素晴らしいカリヨンを紹介しています。
聖堂及び鐘楼。今も1日3回、鐘の音を響かせています。
1938年(昭和13年)に建てられた和洋折衷様式・木造2階建ての旧山本家住宅(西宮市結善町(けつぜんちょう))。建築当初の外観や内部をそのまま維持しており、2007年(平成19年)には国の登録有形文化財の指定を受けました。見学には事前の予約が必要です。
- 問い合わせ先 : 一般財団法人 山本清記念財団 TEL/FAX 0798-73-6677(日曜・月曜・祭日を除く、10:00~15:30の間)→詳しくはこちらをご覧ください。
旧山本家住宅の主屋の南側の外観。当時のゆとりある階層の生活感が随所に感じられます。現在は、文化教室としての利用や、茶室の貸し出しを行っています。
フランスで主に活躍した建築家ル・コルビジェのアトリエに勤務し、彼の建築様式を受け継いだとされる吉阪隆正(1917~1980)が設計した浦邸(西宮市南郷町)。1951年(昭和26年)の建築です。今も住宅として使用されているので、内部の見学はできません。今回の「西宮まちたび博」では、特別に許可をいただいて敷地内に入らせていただき、開放的な造りが特徴的な1階のピロティを見学させていただきました。
(SH)